2024.10.25コラム 日本の家畜由来堆肥の現状と耐性菌対策となる処理法 生産動物に対して抗菌薬がヒト医療に比べて多く使用されており、生産動物の排泄物には抗菌薬の選択を受けた多くの薬剤耐性菌が含まれることが知られています。日本において、生産動物の排泄物の多くは、好気性発酵(堆肥化*)または嫌気性消化(主にバイオガスプラント処理**)によって処理された後に、土壌に散布/還元されています。近年、土壌に散布される処理物に含まれる薬剤耐性菌や耐性遺伝子が環境を介... 2023.07.31コラム “獣医学 Infection Step Up セミナー”が開催される! 最近、畜産農場では高病原性鳥インフルエンザや豚熱が全国的に蔓延しており、畜産農家のみならず臨床現場にいる獣医師の重要性が増しています。また、家畜に治療用あるいは成長促進用に抗菌薬を使用することにより、主に腸管内で薬剤耐性菌は選択され、食肉を介してヒトへ伝播して健康に影響を及ぼすことが懸念されています。ところが臨床獣医師の感染症に関する知識は限定的であり、感染制御の最新情報が広く認... 2023.07.18コラム 薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)に基づくAMR対策の推進 本年4月に、新たに「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2023-2027)」(新アクションプラン)が公表されたことを、前回のコラムでお知らせしたとおりです(https://jlic-net.com/archives/765.html)。今般、新アクションプランの実効性のある取組の一層の強化を求めて、農林水産省消費・安全局長通知である「薬剤耐性(AMR)対策アク... 2023.05.15コラム 改訂された薬剤耐性(AMR)対策アクションプランが始動 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの多剤耐性菌感染症は、じわじわと我々の健康を脅かしており、医療において新型コロナウイルス感染症にも匹敵する脅威となっています。このような状況の下、世界保健機関(WHO)は2015年に「抗菌薬耐性(AMR)グローバルアクションプラン」を採択しました。これには加盟国が2年以内に自国のアクションプランを制定することが明記されています。そこで2... 2023.04.06コラム 病気とは戦かわずして、病気を制する! 有限会社あかばね動物クリニック 伊藤 貢 茨城県かすみがうら市で2023年3月に発生した豚熱の発生は、大きな課題を投げかけられたケースでした。豚熱の発生は現在まで86例発生していますが85例まで(85例中4例は飼育イノシシの発生)は、ワクチンが接種される前か接種されてもその効果が発揮される前に感染したと思われる症例でした。しかし、86例目の発生は、ワクチンを二回接種した農場での... 2023.03.06コラム 代替肉は畜産の脅威となるのか? 酪農学園大学名誉教授 田村 豊 最近、代替肉の話題が各種マスメディアで取り上げられるようになり、読者の皆様も関心を持たれていると思われます。そもそも代替肉は畜産が潜在的に抱える問題点(図1)1)を克服する手段として開発が進められてきたものですが、ロシアによるウクライナ侵略も間接的ながら代替肉の必要性を高めています。これまで畜産に対する脅威といえば、高病原性鳥インフルエンザの蔓...