お知らせ

2023年04月05日

世界における鳥インフルエンザの発生状況と対応¹⁾

現在の鳥インフルエンザの状況は、国際的な大きな懸念です。
2021年10月以降、世界の複数の国や地域で前例のない数の発生が報告されています。鳥インフルエンザは、世界の食糧安全保障と養鶏に依存しているヒトの生活を危険にさらしています。また、野鳥の死亡率が急激に上昇することで、他の野生動物にも影響を及ぼしています。

鳥インフルエンザは、主に家禽類や野鳥に感染するが、ヒトを含む哺乳類にも感染することがあります。中でもH5N1型鳥インフルエンザウイルスは、哺乳類に適応し、ヒトや他の動物に伝播する危険性が懸念されています。加えて、ミンクなどの一部の哺乳類は、異なる亜型のインフルエンザウイルスを混合感染し、動物やヒトにとってより有害な新型や亜型の変異ウィルスの出現につながる可能性があります。

世界動物衛生機関(WOAH;旧OIE)は、世界の専門家とネットワークを構築し、動物とヒトに対するリスクを評価するため、状況を注意深く監視しています。

WOAHは、会員に次のことを呼びかけています。

家禽類および野鳥の疾病サーベイランスの強化を維持すること
■家禽飼育場において厳格なバイオセキュリティー対策を実施し、本病の蔓延を防ぐこと
■病気の蔓延を防ぐために、感染しやすい家畜とその製品の移動を制御すること
■家禽類や病気の家畜・野生動物と密接に接触している、あるいは取り扱っているヒトを保護すること。
特に死体や発生を調査する際には、個人用保護具(PPE)の着用など、常に予防措置を取る必要があります。
■感受性の高い家畜や野生動物を監視し、野生動物の死亡率が異常に上昇した場合(die-offs)はそれを調査すること
■すべての動物種における鳥インフルエンザの発生事例を、世界動物衛生情報システム(WAHIS)を通じて
国際基準に従ってWOAHに報告すること。タイムリーで透明性のある報告は、疾病の状況について十分な知識を維持し
いかなる種類の誤報や偽情報も防ぐために重要です。
■鳥インフルエンザウイルスの遺伝子配列を一般に公開されたデータベースで共有すること

WOAHは、加盟国が鳥インフルエンザの影響に対するリスクを軽減できるよう全面的に支援し、特にOne Health Quadripartite AllianceやGlobal Framework for transboundary animal diseases (GF-TADs) を通じて、専門家のネットワークや公共・民間パートナーとの連携を継続し、さらなる情報の入手が可能になれば技術情報を提供する予定です。

以下に、2023年2月時点での高病原性鳥インフルエンザの世界での発生状況を示します。


 

1)WOAH: Statement on avian influenza and mammals.
  https://www.woah.org/en/statement-on-avian-influenza-and-mammals/

臼井 優(酪農学園大学)