お知らせ

2024年07月26日

JLICセミナー第4弾が開催されました:家畜のマイコプラズマ感染症に関する最新知見

 

 

去る6月29日(土)にJLICセミナー第4弾が開催されました。これまでのセミナーでは薬剤耐性(AMR)、農場バイオセキュリティ、フードチェーンからみた食中毒菌の現状と対策を紹介して参りました。常に農場現場に軸足をおいたテーマや問題を、セミナーを通して参加者と相互に考えて参りました。今回のJLICセミナーでは、長年農場現場を悩ませ、依然としてその発生が制御することが非常に困難な家畜のマイコプラズマ感染症に焦点をあて、畜種ごとに最先端の知見を演者の先生方からご提供いただきました。

まず特別講演として、本邦の医療分野のマイコプラズマ研究をリードされてきた、杏林大学名誉教授 神谷先生に、マイコプラズマの分離、命名の歴史から病原性に係わる基礎研究、疫学研究、ヒト医療における耐性化と抗菌薬を中心とした治療の現状についてご紹介いただきました。次に酪農学園大学獣医学類教授 樋口豪紀先生より、「ウシのマイコプラズマ感染症」と題し、乳房炎、肺炎および関節炎の原因菌種として主なM. bovisに焦点をあて、それぞれの疾患別に疫学状況をご紹介いただきました。また、樋口先生を中心に確立された早期検査の包括的な内容だけでなく、ワクチンを含めた感染制御の最新の知見をご紹介いただきました。

後半には、株式会社ホグベットクリエイション 大久保光晴先生より、「豚のマイコプラズマ感染症:肺炎の黒幕」と題してご紹介いただきました。農場に入ってしまったあとでは撲滅が非常に難しいM. hyopneumoniaeについて、疫学的な背景と確立された検査方法について自験例を含めてご紹介いただきました。生産者にとって重要な経済損失について、マイコプラズマの陽性と陰性で大きく異なることが強調されました。次いで、ワクチノーバ株式会社 鈴木尋先生が「鶏マイコプラズマ感染症の現状と対策」について、国内開発が乏しいM. synoviaeに対する生ワクチン開発の試みについてご紹介いただきました。

本セミナーは最終的に現地およびオンラインを含めて338名の登録者があり、プログラムの最後設定された総合討論では、参加者から演者の先生方に直接多くのご質問をいただきました。JLICでは、AMR問題に対する対策のみならず、家畜とヒトの健康に係わる有益な情報を、広く普及啓発したく活動を続けて参ります。

 

JLICセミナー第4弾概要:https://jlic-net.com/archives/1041.html

JLICセミナー第4弾資料等:https://jlic-net.com/archives/1102.html

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