お知らせ
2026年07月28日
フルオロキノロンおよびマクロライド耐性Campylobacter jejuni / Campylobacter coliを市販鶏肉から同時検出するためのマルチプレックスPCR法の開発
Simultaneous Detection of Fluoroquinolone- and Macrolide-Resistant Campylobacter jejuni/Campylobacter coli in Retail Chicken Meat Using Multiplex-PCR
Fukuda A, Matsui A, Furuya Y, Suzuki Y, Tamura Y, Nakajima C, Usui M.
Microb Drug Resist. 32, 1-8. 2026.
doi: 10.1177/10766294251389592.
鶏肉に汚染するカンピロバクター属菌の中で、特にヒトのカンピロバクター食中毒の治療に使用されることのあるフルオロキノロンおよびマクロライドに対して耐性を示す薬剤耐性菌は、重大な公衆衛生上の懸念となっています。そのため、フルオロキノロンおよびマクロライド耐性カンピロバクター属菌を簡便かつ迅速に検出する方法の開発は、食品衛生上、重要な研究テーマとなります。そこで、鶏肉中のフルオロキノロンおよびマクロライド耐性Campylobacter jejuniおよびCampylobacter coli (カンピロバクター属菌の中でも特に食中毒原因菌として重要)を同時に検出するためのマルチプレックスPCR法を設計し、その性能を評価しました。今回、開発したマルチプレックスPCR法は、カンピロバクター属菌において、それぞれフルオロキノロンおよびマクロライド耐性に関与するgyrA遺伝子およびrrl遺伝子の変異を標的としました。
今回のマルチプレックスPCR法では、カンピロバクター属菌による鶏肉の汚染を検出することに加え、C. jejuniおよびC. coliの同定と、それらのフルオロキノロンおよびマクロライド系抗菌薬に対する感受性の判定が可能となります(マルチプレックスPCR法の詳細は図1)。鶏肉へのスパイク試験の結果、マルチプレックスPCR法では少なくとも0.72 CFU/gのC. jejuni/coliを検出可能であることが示されました。市販鶏肉277検体について、マルチプレックスPCR法と従来の培養法を比較したところ、マルチプレックスPCR法では54検体からC. jejuni/coliが検出され、培養法では52検体から検出されました。さらに、分離株のフルオロキノロンおよびマクロライド系抗菌薬に対する感受性は、両手法の比較において、精度、特異度、および感度はいずれも95%以上でした。培養法では、カンピロバクター属菌の分離および薬剤感受性試験に8日間を要したのに対し、マルチプレックスPCR法では、増菌培養から最終判定まで2~3日で、C. jejuni/coliの汚染およびフルオロキノロン・マクロライド感受性を判定することが可能でした。
以上の結果から、今回開発したマルチプレックスPCR法は、鶏肉中のフルオロキノロンおよびマクロライド耐性C. jejuni/coliを迅速かつ同時に検出でき、食品中の汚染モニタリングに有用であることが示されました。
臼井 優(酪農学園大学)

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