お知らせ

2026年03月31日

私たちは何を食べているのか?ブラジルから輸入された冷凍チキンナゲットにおける薬剤耐性遺伝子の検出(ウルグアイからの報告)

 

What are we eating? Detection of antibiotic resistance mechanisms in frozen chicken nuggets imported from Brazil

 

Cordeiro FN, Coppola N, Ferreira F, Vignoli R, Bado I.
One Health. 21, 101171. 2025.
doi: 10.1016/j.onehlt.2025.101171.

 

薬剤耐性菌及び耐性遺伝子の拡大は、ヒト、環境、動物に影響を及ぼす深刻な課題となっています。この研究では、One Healthの枠組みの下、ブラジルからウルグアイに輸入された冷凍チキンナゲットに含まれる極めて重要な抗菌薬に対する耐性菌の調査を行いました。

80検体の冷凍チキンナゲットを、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、またはコリスチンを含む選択分離培養しました。分離菌の同定は飛行時間型質量分析装置(MALDI-TOF MS)により行い、薬剤感受性はディスク拡散法によって評価しました。さらに、8検体については ショットガンメタゲノム解析を実施しました。

その結果、主にβ-ラクタム系抗菌薬に耐性を示し、加えて一部でキノロン系およびアミノグリコシド系抗菌薬に耐性を示す腸内細菌科細菌19株が検出されました(表1. 2)。また、Pseudomona属菌8株が分離され、その中にはコリスチンに対して耐性を示すPseudomonas fulva 1株が含まれていました。メタゲノム解析では、Firmicutes門(Bacillaceae、Lactobacillaceae、Paenibacillaceae)が優勢であり、γ-Proteobacteriaの割合は低いことが明らかとなりました(図1)。また、β-ラクタム、クロラムフェニコール、ホスホマイシン、リンコサミド、マクロライド、第四級アンモニウム化合物、アミノグリコシド、テトラサイクリン、およびグリコペプチドに対する耐性遺伝子が検出されました。

本研究は、薬剤耐性菌や耐性遺伝子の汚染経路は不明ながら、輸入食品が薬剤耐性菌の拡散に寄与し得ることを示しています。また、One Health サーベイランスを強化する上で、メタゲノム解析と従来の微生物学的手法を組み合わせる有用性を示しています。この例では、ウルグアイへブラジルから輸入された冷凍チキンナゲットについて解析をしていますが、食品の輸出入が盛んである現代において、畜産物由来食品を介した薬剤耐性菌及び耐性遺伝子の伝播のリスクは避けられず、輸入食品を介した耐性菌の伝播リスクに関しても、注意が必要です。

 

臼井 優(酪農学園大学)