お知らせ

2026年06月30日

豚由来病原体および薬剤耐性菌の拡散における短距離輸送の役割

 

 

The Role of Short Journey Transportation in the Spreading of Swine Pathogens and Antimicrobial-Resistant Bacteria

 

Masserdotti M, Formenti N, Donneschi A, Guarneri F, Scali F, Romeo C, Giacomini E, Bertasio C, Boniotti M, Alborali G, Luzzago C.
Transbound Emerg Dis. 2026, 5600771. 2026.
doi: 10.1155/tbed/5600771.

 

 

生体豚の輸送は、保有する病原体を拡散するなど、農場内のバイオセキュリティにリスクをもたらします。豚の輸送トラックは、薬剤耐性菌を含む病原体を運搬し得ることが指摘されています。今回の研究では、トラックの積載前後における微生物学的汚染状況を調査することを目的とし、特に薬剤耐性菌および糞便を介して伝播する主要な病原体に焦点を当てて解析が実施されました。

農場への進入時の消毒済みの空トラック(「クリーン」)および積載後(「ダーティ」)のトラック内部表面をスワブ法で採取し、一般生菌数(TPC)、特定の細菌、およびウイルスについて検査検出を行いました(表1)。さらに、分離された大腸菌については、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)、その他のβ-ラクタマーゼ(AmpC)、およびカルバペネマーゼ遺伝子の保有を、表現型および分子レベルで評価しました。

細菌数(TPCおよび腸内細菌目菌数のいずれも)および大腸菌、ESBL/AmpC産生大腸菌、ならびにA群ロタウイルスの検出確率は、トラックの状態によって有意に異なり、「クリーン」よりも「ダーティ」において有意に高い結果となりました(図1,2)。B群ロタウイルスについても有意差は認められなかったものの、同様の傾向が示されました。一方で、C群ロタウイルス、サルモネラ属菌、豚繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)、およびカルバペネマーゼ産生大腸菌については、トラックの状態による影響は認められず、いずれも「ダーティ」トラックから採取された試料でのみ検出されました。「クリーン」サンプルにおいて、多くの病原体の検出率はほぼゼロでしたが、大腸菌および一部のロタウイルスが比較的高頻度で検出されたことから、消毒手順の改善の必要性を示しています。特に、医療で問題視されるESBL/AmpC産生およびOXA-48様酵素産生大腸菌の検出は重大な懸念事項となります。

以上の結果は、輸送トラックが重要な病原体および薬剤耐性菌の拡散に寄与する役割を担っていることを裏付けており、効果的なモニタリングと適切な消毒手順の重要性を示す結果となりました。したがって、豚の輸送が病原体を拡散するリスクがあるとの前提で、輸送トラックの衛生管理を確実に実施することが求められます。

 

臼井 優(酪農学園大学)